つるかめ算とは? 面積図と「仮定」でわかる解き方と教え方
つるかめ算は、中学受験で学ぶ「特殊算」の代表的な単元のひとつです。 「全部ツルだったら?」と仮定して考える方法は、そのあとに学ぶ多くの特殊算の土台にもなります。
このページの上にあるシミュレーターは、お子さんが自分でツルとカメを入れかえながら、答えにたどり着けるように作っています。 この記事では、保護者の方向けに、つるかめ算の考え方と、家で教えるときのポイントをまとめました。
つるかめ算とは
つるかめ算は、次のような問題です。
ツルとカメが合わせて10匹います。足の数の合計は32本です。ツルとカメは、それぞれ何匹いますか。
ポイントは、次の3つがわかっていて、それぞれの数を求めることです。
- 2種類のものがあり、1つあたりの量(ここでは足の数)がそれぞれ決まっている(ツルは2本、カメは4本)
- 合わせた数がわかっている(10匹)
- 量の合計がわかっている(32本)
中国の算術書『孫子算経』(そんしさんけい、4〜5世紀ごろ)にある「雉兎同籠(ちとどうろう)」、つまりキジとウサギの問題が始まりとされています。 それが江戸時代に、坂部広胖(さかべこうはん)の『算法点竄指南録』(さんぽうてんざんしなんろく)で、縁起のよいツルとカメに置きかえられたといわれています。
豆知識:もとの問題と、もとの解き方
もとの問題は「キジとウサギが同じかごに入っていて、頭は35、足は94。キジとウサギはそれぞれ何羽か」というものです。 答えは、キジ23羽・ウサギ12羽です(2×23+4×12=46+48=94)。
伝えられている解き方は、足の数を半分にしてから頭の数を引くというものです。 足を半分にすると、キジは1本・ウサギは2本とみなせます。94÷2=47 から頭の数35を引くと、ウサギ1羽につき1本ずつ多い分だけが残るので、47−35=12 がウサギの数になります。キジは 35−12=23羽です。
題材が変わっても、考え方は同じです。
| 題材 | 1つあたりの量 | 1つあたりの差 |
|---|---|---|
| ツルとカメ | 足 2本・4本 | 2本 |
| 自転車と三輪車 | タイヤ 2個・3個 | 1個 |
| 50円玉と100円玉 | 50円・100円 | 50円 |
| カブトムシとクモ | 足 6本・8本 | 2本 |
学ぶ時期は、塾やカリキュラムによって異なります。
解き方1:「全部ツルだったら」と仮定する
つるかめ算の基本の解き方は、「全部ツルだったら?」と仮定して考える方法(この記事では仮定法と呼びます)です。 どちらか一方だけだと仮定して、実際との差から考えます。 例題を、全部ツルだと仮定して解いてみます。
- 全部ツルだと仮定する:10匹全部がツルなら、足は 2×10=20本
- 実際との差を出す:実際は32本なので、32−20=12本 足りない
- 1匹あたりの差を出す:ツル1匹をカメ1匹に入れかえると、足は 4−2=2本 増える
- 割り算で求める:足りない12本を2本ずつ埋めるので、12÷2=6。入れかえた数だから、カメが6匹。ツルは 10−6=4匹
- 検算する:2×4+4×6=8+24=32本。合計の数も 4+6=10匹 で、問題とぴったり合います
ここで大事なのは、「全部ツル」と仮定したのに、先に求まるのはカメの数だということです。 12÷2 で出てくる6は「ツルからカメに入れかえた数」なので、カメの数になります。お子さんが最もつまずきやすいところなので、後の「つまずきやすいポイント」でも詳しく説明します。
「全部カメ」と仮定してもよい
逆に、全部カメだと仮定しても解けます。
- 10匹全部がカメなら、足は 4×10=40本
- 実際は32本なので、40−32=8本 多すぎる
- カメ1匹をツル1匹に入れかえると、足は2本減る
- 8÷2=4 なので、ツルが4匹。カメは 10−4=6匹
こちらでは、先にツルの数が求まります。どちらで考えても答えは同じです。
ページ上部のシミュレーターで、実際にツルをカメに入れかえてみてください。1匹入れかえるたびに足が2本ずつ増えるのが確かめられます。
解き方2:面積図で考える
面積図は、つるかめ算を図で考える方法です。 たての長さを「1匹あたりの足の数」、よこの長さを「匹数」にすると、長方形の面積が「足の本数」になります。
ツルの長方形(たて2)とカメの長方形(たて4)を横に並べると、2つの面積の合計が32本です。
このうち、点線で囲んだ「全部ツルと仮定した」長方形の面積は 2×10=20 です。 全体の面積32から20を引いた残り12が、カメの長方形の上に飛び出した部分(斜線)になります。
斜線の部分は、たてが 4−2=2、面積が12の長方形です。 だから、よこの長さ(=カメの数)は 12÷2=6 になります。
計算の手順は仮定法と同じですが、面積図を使うと「なぜ 差÷2 なのか」を目で確かめられます。 面積図は、平均算や濃度算など、あとで学ぶ単元でも使う考え方です。つるかめ算で慣れておくと、その後の学習がスムーズになります。
ページ上部のシミュレーターで実際に入れかえてみてください。入れかえるたびに面積図の「たりない部分」が小さくなっていく様子が見られます。
子どもがつまずきやすいポイント
1. 先に求まるのがどちらの数か、わからなくなる
「全部ツルと仮定したのに、12÷2 で出てきた6はカメの数」というところで混乱するお子さんは多いです。 「6は入れかえた数。ツルをカメに入れかえたのだから、カメの数だね」と、言葉で意味を確認するのが効果的です。 シミュレーターの体験モードで、実際に1匹ずつ入れかえてみると、納得しやすくなります。
2. 「÷2」を丸暗記してしまう
ツルとカメの問題だけを練習していると、「差を2で割る」と覚えてしまいがちです。 自転車と三輪車なら1台あたりの差は1個、50円玉と100円玉なら1枚あたりの差は50円です。
- 例:自転車と三輪車が合わせて10台、タイヤが24個 → 全部自転車なら 2×10=20個、24−20=4個 足りない、1台あたり 3−2=1個 増えるので 4÷1=4。三輪車4台・自転車6台
- 例:50円玉と100円玉が合わせて12枚で850円 → 全部50円玉なら 50×12=600円、850−600=250円 足りない、1枚あたり 100−50=50円 増えるので 250÷50=5。100円玉5枚・50円玉7枚
「1つ入れかえると、いくつ増える(減る)?」を毎回自分で確かめる習慣をつけましょう。
3. 引き算の順番を間違える
全部カメと仮定したときは、仮定した数のほうが実際より多くなります(40−32)。 「足りない」のか「多すぎる」のかを言葉にしてから引き算をすると、間違いが減ります。
4. 面積図のたてとよこを逆にかく
たては「1つあたりの量」、よこは「数」です。面積(たて×よこ)が「量の合計」になることを、最初に一緒に確認しておきましょう。
5. 検算をしない
答えが出たら、「合わせた数」と「量の合計」の2つとも合っているか確かめます。 片方だけ確かめて満足してしまうことがよくあります。シミュレーターの問題モードでは、間違えたときにどちらが合っていないかをヒントで表示します。
家での教え方
まずは「表」で規則に気づかせる
式や面積図に入る前に、表を書いてみるのがおすすめです。全部ツルの状態から、1匹ずつカメに入れかえていきます。
| ツル | カメ | 足の数 |
|---|---|---|
| 10匹 | 0匹 | 20本 |
| 9匹 | 1匹 | 22本 |
| 8匹 | 2匹 | 24本 |
| 7匹 | 3匹 | 26本 |
| 6匹 | 4匹 | 28本 |
| 5匹 | 5匹 | 30本 |
| 4匹 | 6匹 | 32本 |
「1匹入れかえるたびに2本ずつ増える」ことにお子さん自身が気づけば、「足りない12本を2本ずつ埋めるから 12÷2」という式の意味が自然にわかります。 シミュレーターの体験モードは、この表を1行ずつ体験できるように作っています。
「なぜ÷2なの?」を説明してもらう
解けたら、「どうして2で割ったの?」と聞いてみてください。 自分の言葉で説明できれば、題材が変わっても応用できます。説明に詰まったら、表や面積図に戻りましょう。
題材を変えて、同じ考え方が使えることを確かめる
ツルとカメで解けるようになったら、自転車と三輪車、お金の問題など、題材を変えた問題に取り組みます。 シミュレーターの問題モード「ふつう」では、題材を変えた問題が出ます。「むずかしい」では、数が大きい問題や、全部カメと仮定して考える問題も出ます。
面積図は、仮定の考え方がわかってから
面積図は便利ですが、最初から図の書き方だけを教えると、手順の暗記になりがちです。 表や仮定法で「入れかえると増える」感覚がつかめてから、面積図に進むと理解が深まります。
まとめ
- つるかめ算は、2種類のものについて「合わせた数」と「量の合計」から、それぞれの数を求める問題
- 基本は「全部ツルだったら」と仮定し、実際との差 ÷ 1つあたりの差 で求める
- 全部ツルと仮定すると、先に求まるのはカメの数(入れかえた数)
- 面積図を使うと、なぜ差を割るのかが目で確かめられる
- 家では、表で規則に気づかせる → 自分の言葉で説明させる → 題材を変えて確かめる、の順がおすすめ
まずはページ上部のシミュレーターで、お子さんと一緒にツルとカメを入れかえてみてください。
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